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WJ作品中心のSSブログ。 現在はDB(親父中心)、トリコ(コマ総受)となってます。
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やっと半分終わりました~

【Past】前編、掲載完了です!
本なら1冊なのにブログでは5話にも渡ってしまいました。

次はどうしようかなぁ~
Anecdote(外伝)の親父’sストーリーを載せようか、後編を載せようか。
発行順だと外伝なんですけどね。
まぁ、数日の気分次第という事で。

カテだけ作った【Strain】も捨てがたいんですがね…

※当時(2006年5月発行)の作品を一部改定しております※



「認めん…!」
 声の主に皆の視線が集まる。
「オレは絶対に認めん!下級戦士である貴様が戦闘力105,000だと!ふざけるな!」
 エリート戦士として、なにより王子としてのプライドが許さなかった。
 この星を次ぐ自分ではなく、何故か物事はカカロットを中心に動いてゆく。
 本来ならば惑星ベジータのサイヤ人の王子である自分が居る場所にカカロットが居る。
 フリーザの信頼を得るのも、サイヤ人一の戦士になるもの自分でならなければならなかった。
 宮廷占者がカカロットの生誕祭の折に運命を背負っていると述べたと聞いた時、自分の存在理由を考えたが大きな運命の力を持つ双子星以上の者など居るのとは思えなかった。
 親に庇われなければ、あの時に死んでいたであろう赤ん坊が自分の全てを奪っていく。
 ならば、奪われたモノは奪い返せば良い。
「オレと全力で戦え!カカロット!」
「イヤだ!」
 ブロリーを殴った感触が拳に残っている。
 ギニュー達やバーダックを相手にしている時には感じられなかった嫌悪。
 今まで、自分の力で相手が死んでしまう可能性など考えた事もなかった。
「オレと戦えと言っているんだ!」
 渾身の力を込めたエネルギー弾をカカロット目掛けて打ち放つ。
 しかしエネルギー弾はカカロットに命中する事無く、弾き飛ばされていた。
「カカロット…大丈夫?」
 戦意をなくし、戦闘力を落としてしまったカカロットが先程のエネルギー弾の直撃を受けていたら、怪我ではすまなかっただろう。しかし、カカロットはかわそうとしなかった。自分は戦わないという意思を貫く為に。
 ブロリーは昔、同じような状況があった事を思い出していて。
 あの頃のカカロットはかわす事も出来ない状態であったが、ブロリー自身もまた攻撃されているカカロットを助ける事が出来ず、ベジータ王子に攻撃をするのが精一杯であった。
「………今度は僕が守る!」
 だが今は違う。
 ブロリーの決意を表すかのように、髪の色が深い水底の様な青へと変わった。
 尚も止まないベジータ王子のエネルギー弾を時には弾き、時には受け止めカカロットを庇い続ける。
 同じ日に生まれ、血の繋がった兄弟の様に育ってきた。
 一緒に居ない時間よりも、共に過ごした時間の方が遥かに長い。
 その中でブロリーはカカロットの全てを見てきていた。
 何も考えていない様で、回りの人達の事を一生懸命考えている姿を。
 自分よりも他人を優先する心を。
 そして最後の最後にならないと相談してこない意固地な部分を。
 カカロットの最後の砦になろうと決めたのはいつの頃だっただろうか。
 何が自分を此処まで突き動かすのか、はっきりとは解らない。
 解っているのはカカロットの心を守らなければならないと言う事。
 たとえ過ちであったとしても人の命を奪ってしまったら、カカロットの心が消えてしまうのではと思えてならない。
「……ヤメロ……」
 今までに聞いたことも無い、地に響くような低い声がした。
 声の主を見るとその体を金色のオーラが包み、逆立った髪もまた金色へと変化している。
「キサマの相手など俺で十分だ!」
 カカロットもこんなブロリーは見た事がなかった。
 いつもの温和なブロリーとは全然違うその姿に圧倒されてしまう。
「カカロットと戦うと言うなら、俺がキサマを殺す」
 ブロリーはベジータ王子の身勝手な行動に、怒りを抑える事が出来なくなっていた。
 自分の何処にこれ程の力があったのか、自分でも判らない。
 それでも一つだけ判る事があった。
 目の前にいる者こそが敵だ、と。
「死んでしまえ!」
 重い一撃がベジータ王子に命中する。
 ブロリーの戦闘力は平時の倍以上に跳ね上がっていた。
 その攻撃を遮る者は居ない。
 フリーザですら、目を見開いたまま動けずにいる。
「や、やめるんだ!ブロリー!」
「邪魔だ!」
 誰よりも先にパラガスが止めに入ったが、力の差は歴然としており軽く弾き飛ばされてしまう。
「何をしている!王子を救出せんか!」
 投げ飛ばされながらも、エリート戦士達へ指示を出す。
 パラガスの言葉で我を取り戻したエリート戦士達だったが、全員で押さえにかかってもブロリーはびくともしない。
「ブロリー!」
 カカロットも力の限り、ブロリーの腕を引っ張る。
 戦闘力を最大限まで出して引いているにも関わらず、ブロリーの動きは止められず、その手はベジータ王子の頚部を締め上げようとしていた。
「カカロットを…カカロットを傷つける者は消えろ!」
「王子を放せ!ブロリー!」
「このままでは王子が死んでしまうぞ!」
「煩い!」
 腕にしがみ付いていたエリート戦士は軽々と振り払われ次々と岩場へ叩きつけられる。
「うわっ!」
 短く上げられた悲鳴が自我を失っていたブロリーの耳に残った。
(何を     誰を振り払った?)
 崩れた岩場に小さな人影が見える。
「カ…カロッ…」
 意識を覆いつくしていた霧が徐々に晴れる。
(何をした?)
 怒りに奪われていた思考が戻るにつれ、ぼやけていた視界が鮮明になる。
(誰を攻撃した?)
 小さな人影が徐々にその姿を現した。
「カカロットォー!」
 掴んでいたベジータ王子を放り出し、人影の、カカロットの元へと向かう。
 抱き起こしても全く動く気配がない。
 今までバーダックの拳を受けた時ですら、意識を失った事は無いというのに。
「カカロット……カカロット!」
「!今の内に王子を!」
 幸いにもベジータ王子は意識を保っていた。
 その目にブロリーに抱きかかえられたカカロットの姿が映る。
「カカロッ………ッ」
 無意識に伸ばしかけた手を握り締める。
 自分が望んだ筈だった。邪魔な者が居なくなる事を。
(………違う!)
「オレが………オレは!」
 カカロットを殺すつもりだった。
 明確な殺意を抱いていた。
 だというのに、意識の無いカカロットを前に湧き上がってくるこの苦しみは一体何なのだろうか。
「ベジータ。動けるならばお前は城へ戻れ。ラディッツとターレスは急ぎカカロットを医療棟へ運べ!」
 王の命令はラディッツとターレスの耳に届いていたが、直ぐに反応する事は出来なかった。
 今までに味わった事の無い畏怖。
 戦闘力が高いだけではなく、周囲に撒き散らされる殺意に気圧され、全く身動きが取れなかった。
「医療棟へ運ぶより、私の船をこちらに呼んだ方が早く治療が行えますね」
「お願い致します。ラディッツ!ターレス!何をしている!早くカカロットを    
 王が見やると、懸命にカカロットの元へ向かおうとしている2人を見えない何かが邪魔していた。
「ブロリー!カカロットを渡すんだ!」
「キサマ等は…手を出すな!」
 ブロリーが声を上げると、壁となっていたエネルギー波が2人を襲う。
 またブロリーは完全に元のブロリーに戻ってはいなかった。
「チッ……馬鹿野郎!そのままじゃカカが死んじまうぜ!良いのか!」
「カカロットが    死ぬ     ?」
(嫌だ!)
 頭の中で警鐘が鳴る。
「駄目…だ…カカロットが…死んでしまったら…」
「俺達だってカカに死なれたくねぇんだ!解ったらエネルギーの放出を止めろ!」
 エネルギーの放出が収まるにつれ、ブロリーの容姿も元の姿へと戻ってゆく。
       僕が       僕が   カカロットを       
「誰もお前1人の責任だとは思っちゃいないさ」
 そう、ブロリーだけの責任ではない。
 彼を止められなかった、そしてカカロットを受け止められなかった自分達にも責任がある。
「ブロリー。泣いてる暇があったらさっさとカカを運びやがれ!フリーザ様の宇宙船が向かって来ちゃいるが、こっちからも動きゃその分早く治療できるからな」
 宇宙船の進行方向を確認すると、3人は一斉に飛び立った。
「パラガス…ブロリーは…超サイヤ人なのか?先代が創り上げようとしていた…」
「まさか!私も妻もあの実験には参加しておりません。それに先代の理論ではルートタイプにのみ現れると」
 エリート戦士達もざわつき始める。
「ベジータ王、何なのですか?その超サイヤ人というのは。普段のブロリーさんとは全く違う様子でしたが」
「…伝説です。遥か昔よりサイヤ人に伝わる。金色の髪と蒼い瞳を持つサイヤ人が現れ、強大な力を振るったと」
 サイヤ人ならば一度は聞かされる物語。
 そして子供にとっては憧れの的であり、先代の王が取り付かれた妄執。
「でしたら、喜ぶべき事ではありませんか?最強の戦士が誕生したのでしょう?」
「超サイヤ人は力の象徴であると同時に…破壊の象徴でもあるのです。この星に我々サイヤ人が移住する原因になった母星消滅にも超サイヤ人が関わっていたという文献が残っております」
 先程のブロリーを見る限り、その文献も嘘ではないと思えてしまう。
 もしカカロットが居なかったとしたら、ブロリーの暴走を止める事が出来たか解らない。
「ともかく…一度私の船に参りましょう。カカロットさんの容態が心配です」
 冷静を装いながらも、フリーザは先程のブロリーを思い返していた。
 あの程度の戦闘力ならばまだ恐れる事は無いが、同時に発していた己の動きさえ止める凄まじい殺気には目を見張るものがあった。
(伝説の戦士…ですか…)
 サイヤ人の力は必要だった。
 個々としての能力ならばフリーザの方が上ではあるが、戦いに慣れている戦闘力の高い種族は他には居ない。
 それに現在は別の楽しみも存在している。
 今、惑星ベジータを滅ぼされる訳にはいかなかった。
(………この鉱石……使えるかも知れませんね………)

 フリーザの船に収容されたカカロットはメディカルマシンへと入れられた。
 しかし、機械は直ぐに治療完了のサインを示し、薬水が抜かれてしまう。
「……治療不可能です」
「なっ、テメェ!医者だろうが!」
 ターレスが若いドクターに詰め寄る。
「怪我らしい怪我が無いんです!ただ眠っているとしか言い様が無いんですよ!」
 身体の外部にも内部にも、怪我をした形跡がない。
 呼吸・心拍・脳波など調べられる限りの事を調べても異変は何も見つからず、診断結果としては睡眠状態であるとしか結論が付けられない。
「いつ…目を覚ますんですか…?」
「前例が無いので予測がつきません。直ぐに目覚めるのか、長く眠り続けてしまうのか」
「…ごめん…カカロット…ごめん…」
 理性を取り戻した後、自分の行った行動は全て記憶に残っていた。
 ベジータ王子に行った事、周囲の人々の表情、そして自分を取り戻させてくれたカカロットの存在。
 時間が経つに連れ、自分に対する恐れが生まれた。
 あの時、カカロットの声に気付けなければ自分はあのまま暴れ続けていたのだろうか。
 もう一度あの力が出てきてしまった時、カカロットは傍に居てくれるのだろうか。
 カカロットが目覚めなければ、自分はどうなってしまうのだろうか。
 考えれば考える程、自分がどれだけカカロットを必要としているのかが解る。
 その思いはラディッツとターレスも同じだった。
「カカロット………情けない兄貴でごめんな」
「ほんと、情けねぇよな。このオレ様が動けなかったなんてよ。親父さんになんて言やいいんだ…」
 カカロットが生まれてから、家の中はカカロットを中心に動いていた。
 あの日、守ると誓った存在。
 なのに何も出来なった自分達は今は動かぬ手を握り締める事しか出来ない。
 力が欲しかった。
 あの恐ろしい力に負けない、大切な存在を守れるだけの力が。
「ラディッツ、ターレス。カカロットの容体は     
 見るからに気落ちしている3人の様子に、王達は現状を悟った。
 医師からの説明が終ると、涙を浮かべたブロリーが近付いてくる。
「父さん………僕は………」
 ベジータ王とフリーザはそこで改めて、ブロリーがカカロットと同じ10歳の子供である事を思い出した。
 カカロットと一緒にいると体格や話し方のせいで同年齢だという事をつい忘れてしまうが、彼もまた守られるべき子供なのである。
「出来るだけカカロットの傍にいてやれば良い。カカロットが目を覚ました時に直ぐに謝れるように。な」
 パラガスが視線を向けると、ラディッツは無言で頷く。
 あれは事故だと、ラディッツにも解っている。
 ブロリーがカカロットだと認識した状態での行動ならば許す事は出来ない。
 だが、カカロットを傷つけたと一番心を痛めているのはブロリーに他ならないのだから。

 その日から、カカロットの元気な声が街中に響き渡る事はなかった。
 後日帰還したバーダックは、パラガスと共に一切の任務を受けなくなり、カカロットの傍に付き添っている。
 逆にラディッツとターレスは休むまもなく遠征に行くようになり、家に戻る事が少なくなった。
 ベジータ王子は城中での謹慎処分となり、ブロリーもまたカカロットの傍を離れようとしなかった為、城下町はかつて無い静けさに包まれる事になった。

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プロフィール
HN:
神薙
性別:
女性
職業:
事務
自己紹介:
サークル活動時
《BlueSkyHero》では【蒼皇那鬼(ソウコウ ナキ)】
《Legend-Of-DragonBall》では【神薙(カンナギ)】
と、サークル名を変える時にPNまで変えたりしたお馬鹿です(笑)
どんなジャンルにも手を出しますが、自分が書くジャンルは少なかったりします…
今はタイバニ(兔虎)にもハマってたり…
基本、親父好きです(爆)
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