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WJ作品中心のSSブログ。 現在はDB(親父中心)、トリコ(コマ総受)となってます。
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【修羅色の戦士】完結です!

今日のトリコを読んでどっちを更新しようか迷ったんですけど、最終話なのでこちらにしました。

…このSSブログの中で、一話完結以外で初めての完結です(^_^;)
この後、本編【Past】に続いています。

そして次からは予告通り、DBSSはPastの後編になります。
後編は…書き直したいところ盛り沢山、なんですが…どこまで直せるか…
※当時(2006年5月発行)の作品を一部改定しております※



「バーダック…本当にそれで良いのか?」
 一ヵ月後。
 国内も落ち着きを取り戻し、べジータは正式に第49代目として王位についた。
 バーダックもまた、先王を倒し研究所から子供達を助け出した功績により再び称号を受ける事となったのだが…
「確かに【狂戦士】は遥か昔から伝えられる【超サイヤ人】と同じく最強の戦士の証だ。しかし…」
「良いんだよ。オレの中で眠ってるコイツの唯一の名だ。コイツがいた証としても名乗り続けてぇんだよ」
 戦いの中で、相手の血を浴びる事で己の存在を確認し続けていたのはバーダックではなく【狂戦士】だった。
 人に造られた、己の名すら持たない《彼》は常に不安だったのかも知れない。
 だからこそ、形は違えど他人の体温を求めた。
「人の事よりべジータ。あの赤ん坊を王子として育てる事にしたんだろ?それも先王じゃなくお前のクローンだってって話じゃねぇか」
 研究所から持ち出したデータを照合した結果、あの培養液の中にいた赤ん坊はべジータの細胞を使ったクローン体である事が確認された。
 グリーズタイプはルート因子を拒絶する因子を持っている事が先王の研究により判明し、先王の細胞では因子持ちの子供を造る事が適わなかったのだ。
 そこで自身はルート因子を持たないがルートタイプの母親から遺伝子の半分を受け継いでいるべジータの細胞を使い、ルート因子を持った子供を造る事に成功したのである。
「赤ん坊には罪は無い。殺せと言う者もいたが私の細胞から造られたと判明した後は反対する者も少なくなった。それに既にべジータの名を与えたからな。誰も手出しは出来んさ。私より前の方が大変なのではないか?」
 何が大変なのか。
 バーダックが意味が解らずに首を傾げていると、可笑しそうにべジータが言葉を続けた。
「あの時、お前が最初に助けた2人の子供のうち、片方がお前の子供だったそうだ。ロトス殿はもう1人の赤ん坊も引き取ると言っていたぞ。検査も終わり、今頃はお前の家に居るのでは?」
「なっ!?」
 ロトスが無事だった事は聞いているが、また一緒に暮らすなどという話は全く出ていなかった。
「バーダックも承諾していると言っていたので許可してしまったが…」
「あのクソ女!」
 慌てて飛び出すバーダックの後ろ姿。
 そこには初めて会った時に感じた、今にも消えてしまいそうな感覚は何処にも残っていない。
「これが本来の《バーダック》なのだろうな」
 周囲の者達の間でも、バーダックの印象は大分変わっていた。
 今でもその存在を煙たがっている者はいるが、下級戦士どころか一部のエリート戦士の中にもバーダックとチームを組みたがる者が現れ始めている。
 出来る事ならば、べジータはバーダックを戦場から切り離したかったが、これからの惑星べジータを支える為にはバーダックの力は貴重な戦力だった。
 先王の死は瞬く間に銀河中に広がってしまった。
 戦いを好まない王子が王位を継いだ為に惑星べジータは弱体化した、などと言う噂も広がっており既に戦闘体制を取っている星も報告されている。
 バーダックを戦場に行かせる事に罪悪感を覚えてならないが、今度の戦いは無意味なモノではなくサイヤ人と惑星べジータを守る為の戦いなのだからと、当のバーダックが快く引き受けてくれた事に感謝もしていた。

 誰もが穏やかに暮らせる。
 周囲からは甘いと言われるが、そんな世界をべジータは夢見ていた。



 べジータの言葉通り、家へ戻ると部屋の中から聞きなれた声と子供の声が聞こえる。
「バーダック!ほら!この子がラディッツ!」
 扉を開けるなり目の前に子供を突き出された。
「それでこっちの子がターレス!」
 確かに、あの時ツフル人の研究者に託された子供達だった。
 自分の子であると告げられたラディッツと、ルートタイプのターレス。
「まさか、他の子供達を見つけたあの子供をお前が面倒見るとはなぁ」
 部屋の奥からトーマが姿を現す。
 他にも数名、上がりこんでいるようだった。
「テメェ等…人の留守中に勝手に上がりこんでんじゃねぇ!」
「ま、まぁまぁ、怒るなって。今日は新しいチームの顔合わせに来たんだからよ」
「そうだよ。折角来てくれたってのに。バーダックが帰ってくるまで子供達の相手もしてくれたんだよ」
 トーマだけではなくロトスにも言っているのだが、既に彼女の中ではここは自分の家になっている様だった。
「テメェにも言ってんだ!勝手にターレスとかってガキまで引き取りやがって!」
「良いじゃないか!ラディッツとも仲が良いし、ターレスの親は2人とも死んじまってるっていうし。べジータ王だって承知してくれたんだから!」
 2人の言い合いは現在の事から2年前にまで遡って、果てしなく続いた。
「…ホント、似た者夫婦だね」
 部屋の奥から顔を出した小柄な女性戦士が呟く。
「おれはよ、バーダックってもっと恐ろしいヤツだと思ってたぜ。な?」
「うん」
 彼女の後ろから顔を出したのは太った男と大柄な男。
 バーダックの新チームのメンバーとして紹介して貰えるのを待っていたのだが、いつまで経ってもお呼びが掛からずに待ちくたびれていた。
「ほら、ラディッツ、ターレス。こっちおいで。姉ちゃん達が遊んであげるから」
 2人の足元で放ったらかしにされている2人を招きよせると、部屋の奥へと戻っていく。
 同族同士での殺し合いもしていたのが嘘であるかのように、先王の死後、同族を大切にする者が増えていた。
「だからテメェが!」
「それはバーダックが!」
 この後、2人の夫婦喧嘩は近隣どころか惑星べジータの名物と化した。



 手に残る血の生温かさ。
 戦いに明け暮れる生活は《彼》を思い出させる。
 心の奥で眠りについた《彼》は、今のバーダックの姿をどう思うだろうか。
「またガキが産まれんだって?」
「アイツが勝手に医局で作ってきやがったんだよ」
 母親の命を奪って産まれてくる子供は、まるでいつかの自分の姿を見ている気がする。
 確実に死ぬ運命を選んだのは彼女自身。
「どんな形であれ、親を殺しちまうってのは嫌なモンなんだけどな…」
 《彼》の記憶に残る、父と母の最期の姿。
 その血肉を浴びた時、《彼》の生き方は決まった。
 人の命を奪う事しか出来なかった自分と、人の命を奪う事で存在した《彼》。
 そして人の命を奪って産まれる子供。
「サイヤ人は殆どがそうやって産まれてくるんだから気にすんな。どう育つかはお前次第だろ」
「な、何しやがる!」
 乱暴な手付きで思い切り髪を掻き乱される。
「わりぃわりぃ、そう怒んなって。そう言や、今回はお前が名前付けるんだって?もう決まったのか?」
「…ジーニン、カロート、カカロット、ロータス。ここまでは絞ったんだけどよ」
 彼女はどのようにラディッツの名前を決めたのだろうか。
 名前を決める、というのがこれ程頭を悩ませるものだとは思いもよらなかった。
「まだ産まれるまで時間があるんだろ?ゆっくり考えろや」
「ガキ共にせっつかれんだよ。近頃は口も達者になってきやがった。さ、無駄話は終わりだ。さっさと終わらせるぜ。まだまだ敵さんは残ってんだからよ」



 自分が変われた様に、いつか《彼》も変わる事が出来るのだろうか。

 この命が尽きるまで共に歩む《彼》にも知って貰いたい。

 血が温かいのではなく、命が温かいという事を。

 あの赤い風景が酷く冷たいものである事を。

 戦いだけが、生きる証では無い事を。

 力だけが、存在を示すものでは無い事を。

 それまで名乗り続ける事だろう。

 名を持たぬ《彼》の唯一の呼び名    【狂戦士】を。

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職業:
事務
自己紹介:
サークル活動時
《BlueSkyHero》では【蒼皇那鬼(ソウコウ ナキ)】
《Legend-Of-DragonBall》では【神薙(カンナギ)】
と、サークル名を変える時にPNまで変えたりしたお馬鹿です(笑)
どんなジャンルにも手を出しますが、自分が書くジャンルは少なかったりします…
今はタイバニ(兔虎)にもハマってたり…
基本、親父好きです(爆)
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