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WJ作品中心のSSブログ。 現在はDB(親父中心)、トリコ(コマ総受)となってます。
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RelationAnecdoteは実はネタだけは豊富にあったりします。
ただ…それが文章になるかどうかは別として…

【修羅色の戦士】や【一期一会 外伝】を読んでいただければ解りますが、本編の空白期間を補う話を外伝という扱いにしています。
なので外伝を書く時には本編の設定を確認しなおしたり、外伝を書いた後に本編を書くときは矛盾がないか確認したり…そうしていると変換ミスを発見したり…
いつになったら矛盾や間違いの無い話が書けるようになるのでしょうかね…

※当時(2006年12月発行)の作品を一部改定しております。


 いつもと変わらぬ日差しが部屋の中に降り注ぐ。
 いつもと変わらぬ…カカロットの目覚めぬ日がまた訪れる。
「おはよう、カカロット」
 ブロリーは必ず一日の始まりと終わりをカカロットに告げていた。
 カカロットがその言葉に反応する事は無い。
 しかし、今日はいつもと違っていた。
 今まで凍りついたかの様に無表情だったカカロットの顔が苦しそうに歪んだのだ。
 まるで悪い夢でも見ているかのように。
 父親であるバーダックを呼びに行った方が良いのだろうが、ブロリーはその場から離れられずにいた。
 苦しみと悲しみの入り混じった表情。
 何が彼をこれ程苦しめているのか。
「カカロット、大丈夫だよ」
 ただ、語り掛ける事しか出来ない自分に歯がゆさを覚えるのは今に始まった事ではない。
 語り掛けながら額の汗を拭っていると、カカロットはまた無表情な寝顔へと戻ってしまう。
 いつもならば何かしらの変化が無いかと望んでいたが、ブロリーは苦しむくらいならば無表情のまま眠っているカカロットを見ている方が安心できた。
 そんな状態が一週間程続いた。


 その日は朝から雨が降っていた。
 フリーザに無理矢理休暇を取らされたラディッツとターレスはやる事の無い家の中で暇をもてあましていた。
 トレーニングルームはブロリーが使用しており、身体を動かすことも出来ない。
 先程から何度行ったか解らないがカカロットの様子を見てこようと腰を上げると、この家には珍しく来客を告げるベルが鳴り響いた。
「ここはバーダックの家で良いかな?」
「あぁ。あんたは?」
 扉の前にはフードを目深にかぶった人物が1人。
 顔を見ることの出来ないこの状態では相手がサイヤ人なのかも解らない。
         間違いない         
 不審な人物はそう呟くと、ターレスの静止を振り切り勝手に家の中へと歩を進め、1つの部屋の前で立ち止まった。
 迷い無く向かったその部屋の扉を、迷うことなく開く。
 綺麗に片付けられた部屋の中に居た人物と目が合うと、徐にフードを外す。
「テメェは…」
「生誕祭以来だな」
 バーダックは突然の来訪者に見覚えがあった。
 カカロットとブロリーの生誕祭で予言とも言える言葉を紡いだ宮廷占者   カナッサ星人のトオロである。
「暫くぶりに惑星べジータへ来てみれば、星を取り巻く空気の流れが変わっていた。もしやと思い来てみたが…やはりこの子が原因か」
 ベッドに横たわるカカロットに目をやると、トオロは顔を伏せてしまった。
 17年前。
 赤ん坊であったカカロットの未来を見た時には、この様な事態になるとは思えなかった。カカロットの未来に、今、この時の映像は無かったのだ。
 改めて眠っているカカロットに触れてみるが、17年前と違い何も見えてこない。
「原因は…何だ…?」
 一族の長となる為に惑星べジータを離れることになったが、この十年の間、ずっと気がかりであった。
 盛大な祝福を受けていた2人の赤ん坊。
 自ら輝きを放つ者とその輝きを受けて光を返す者。
「7年前に王子とちょっくら揉めちまってよ。そん時に力を制御出来なくなったブロリーを止めようとして岩に叩き付けられたって話だ…オレも見ちゃいないんだがな」
「そうか…」
 再びトオロがカカロットに手を伸ばし、その額に触れる。
 何度試みても、今のカカロットからは僅かな未来も、その心も感じ取れなかった。
「この子の心は何処へ…」
 今までに心までもが感じられない相手にトオロは出会ったことが無かった。
 例え眠りについていても、意識が無く昏睡状態にあろうとも、心は身体に残っていた。
 だが、カカロットからは心の欠片すら感じ取ることが出来ない。
 心が無ければ    未来は存在しない。
「あの子は何処にいる?この子と対を成す、双子星の運命を持つ強大な力を持った子は」
「…ラディッツ、呼んで来い」
 トオロは気付かなかったが、部屋の入り口にはラディッツとターレスの姿があった。
 入り口から様子を伺っていたラディッツが何処かへと向かう後姿を見送ると、トオロは再びカカロットの心を読み取ろうとした。
 何度触れても見えるのは真っ暗な闇。
 17年前は眩しい程に光を放ち、闇の気配など欠片もなかったと言うのに何故これ程の闇に包まれてしまったのか。
 トオロは17年前にはっきりとこの星の運命とカカロットの運命が繋がっていると解った。時折現れる星の体現者。星の思いを背負い、星をあるべき道へと導く者。
 稀に生まれるその存在は、必ずしも己の生まれた星の運命と繋がっているとは限らない。
 星との繋がりの力も弱い者もいれば強い者もいる。 
 眠りについているだけで星の空気を変えてしまう程の強い繋がりを持っているならば、万が一にも命を落とすような事があった時、この星がどれ程のダメージを受けるか、トオロにも見当がつかなかった。
「!」
「あぁ、最近悪い夢でも見てんのか、時々苦しそうな顔をすんだよ」
「確かに…悪い夢の様だな…」
 カカロットの顔が歪んだ瞬間。
 今まで闇に覆われていたものが急に晴れ、とある光景を映し出していた。
「…有り得ん…何故…この様な事が…」
 これがカカロットが見ているだたの夢なのか、それともこれから先に起こりうる未来なのか。
 もう少し詳しく映像を読み解こうと精神を集中させ始めたその時、凄まじい勢いでトオロの体はカカロットから離され壁へと押し付けられていた。
「…カカロットに何をした」
 青みがかった髪が逆立ち、目つきも全く違ってしまっているがトオロには自分を押さえつけている青年があの時のもう1人の赤ん坊である事が直ぐに解った。
「ブロリー!止めんか!」
 トレーニングルームから駆け出したブロリーを追ってきたパラガスが止めようとするが、その声はブロリーに届いていない。
 ブロリーは締め付けている相手の顔を昔、見た事があった。
 もっとも…今は知っている者かどうかは関係ない。カカロットに害をなす者か、否かだけがブロリーの判断基準だった。
 トオロが己の胸元を締め上げている手に触れると、鮮明な映像が流れてくる。
 それは過去の   カカロットが意識を失った時の映像だった。
 過去の映像から現在へ、そしてその先の未来へと読み解こうとした時プツリと映像が消え、カカロットと同じ様な闇の世界が広がっていた。
「…そういう…事か…対の子よ…カカロットを…助けたいか」
「当たり前だ!」
「ならば…王子も呼んで来なさい…カカロットを目覚めさせる為に」
「ベジータを、だと?」
 ブロリーとベジータはあの諍いの後、一度として顔をあわせていない。いや、ブロリーはたとえベジータが訪ねて来たとしても顔を見たくも無かった。
「あいつが…必要だと?あんなヤツが!」
 ブロリーの手に更に力が込められる。
「お………お前と王子………2人が元凶だ!」
 不意にブロリーの手が離れ、トオロが咳き込む。
「2人の不和の原因が自分にあると思ってしまったのであろう…自分がいるだけで王子は怒りを見せ、自分を守ろうとするからお前さんは怒りに囚われた。夢は記憶を整理すると言うが…この子の場合はその罪悪感から見ているやも知れんな…」
 ただ、それだけでは説明の付かない夢ではあるのだが、映像を見ていない者へそれを説明するのは難しかった。それを見たトオロですら、理由が解らないのだから。
「カカロットの目を覚まさせる為に、試せる事はある。が、それを行うには1人足りない。成功するか、失敗するかは試して見なければ解らんが…何もせぬよりましであろう?」
 ブロリーも試せることは試したいと思っている。
 それでも…ベジータを目の前にして冷静にいられる自信がなかった。
「ま、何にせよ先ずは王宮から王子を引っ張りださねぇと話になんねぇって事か。おい、ラディッツ、ターレス。前に王宮の抜け穴教えてやったの覚えてるか?」
「ベジータ王が使ってたやつだろ?」
 王族専用の緊急通路を使って、ベジータ王は以前、頻繁に城を抜け出してきていた。
 王が使わなくなった為、現在どのような状態になっているのか予想も付かないが、場所ならばはっきりと覚えている。
「お前等は抜け穴から城へ入って王子を連れ出せ。オレとパラガスでベジータに話してみるが…上手くいくか解らねぇからな」
 今のベジータ王が自分達の知っているままのベジータ王だったならば、この7年、一度も来ないという様な事は無い筈だった。
 自分の息子が引き金となってしまったからなのか、ブロリーが王子を害そうとした事が原因なのか。そのどちらかが原因で姿を見せないならば良い。だが…
「7年も前線を離れちまったし、オレも城って場所が嫌いであれ一度も顔を見に行ってねぇからな。向こうから来ねぇならこっちから行くまでだ。パラガスにも良い機会だろ」
 王補佐であるパラガス。
 その立場はバーダックよりも危うい位置にあった。
 バーダックの【狂戦士】は最強のサイヤ人としての証であり、称号である為、この程度のことで剥奪される様な事はない。剥奪される時はバーダックがサイヤ人一の戦士で無くなった時だが、簡単に狙えるものではない。
 しかし王補佐は地位であり、常に多くのものが狙っていた。事実、王補佐の下の地位  側近として王に使えている者の半数以上がパラガスが地位剥奪される日を待っている。
「お前もあれ以来、城に行ってねぇだろ。この間トーマがぼやいてたぜ。早く戻って来ねぇとストレスで潰れちまうってな。ま、あいつもエリートだ。まだ2~3年は大丈夫だろうけどよ」
 パラガスの地位を保つ為に、トーマもまた奮闘していた。
 バーダックと出会う以前から   現王が王子であった時から側近として仕え、ベジータ王の性格もパラガスの性格も把握している。
 バーダックとの出会いにより側近の地位から離れていたが、2人が離れる事で王が孤立しないようにとパラガスの代理として職務を行っている。
 だが当然の事ながら風当たりは良くない。
 パラガスの息子であるブロリーが王子を害そうとした事実は他の王補佐および側近の耳に入ってしまっている。そんな者の代理であるトーマがまっとうな扱いを受けている筈がなかった。
「……解った。ならば早い方が良いな。準備が出来次第向かおう」
 その後の段取りはパラガスが本領を発揮した為、早かった。
 問題は場内の警備体制であるが、これはトーマから得る事が出来る。
 トオロもここに来る前に立ち寄った王宮の様子を解る範囲で教えてくれた。
「話が纏まったところで悪いけどよ…もしかしなくても一番危ねぇのってオレとラディッツか?!」
「…だよなぁ…親父達は正面から入れてもらう。俺たちはコソコソと抜け道から進入する。それも…王子を連れ出すのが目的だ、なんて知られたら」
 誰がどう見ても立派な誘拐犯の誕生だ。
「絶対に見つかるんじゃねえぞ?テメェ等がドジ踏んでもオレは助けねぇからな」
 戦場を離れて多少角が取れたと思っていたが、そこにいるのは紛れも無く【狂戦士】の目をした最強の戦士だった。

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HN:
神薙
性別:
女性
職業:
事務
自己紹介:
サークル活動時
《BlueSkyHero》では【蒼皇那鬼(ソウコウ ナキ)】
《Legend-Of-DragonBall》では【神薙(カンナギ)】
と、サークル名を変える時にPNまで変えたりしたお馬鹿です(笑)
どんなジャンルにも手を出しますが、自分が書くジャンルは少なかったりします…
今はタイバニ(兔虎)にもハマってたり…
基本、親父好きです(爆)
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