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【修羅色の戦士】は1話1話が長めだったり短めだったりしますが、区切りのいい部分を探してたらこうなっちゃいました。
あと数話続きますが、これが終ったらPastの後編に入りたいと思っています。
ちなみに【Relation】シリーズに出てくる「○○タイプ」と言うのは、言うまでも無く創作です。
昔ちゃんと意味を考えて付けた筈なんですけど…
何せ数年前の事なので…覚えているのは
リーリタイプ(パラガス)=アスパラガスがユリ科(リリー)だから
ルートタイプ(バーダック・カカロット・ターレス)=ごぼうや人参が根菜だから
って感じだったかと。
※当時(2006年5月発行)の作品を一部改定しております※
「バーダック!何故、あの生物を殲滅した!指令書には捕獲とあった筈だぞ!」
司令船に戻るなり、中央ルームへと案内されたバーダックを、待っていたの何のことは無い、文句を言う事しか出来ない弱者の遠吠えだった。
「オレも言っておいた筈だがな。くだらねぇ仕事は持ってくんじゃねぇってな!」
バーダックが唐突に放ったエネルギー弾が指揮官の1人を掠め、船体に穴を開ける。
外壁までは達しなかった所を見ると、バーダックはかなり手加減している事がわかるが、それでも当たれば唯では済まない。
指揮官達はバーダックを下級戦士からの成り上がりとしか見ていなかったが、その戦闘力は此処にいる誰よりも上なのである。
「それもこんなくだらねぇ用事で呼びやがってよ」
次々と放たれるエネルギー弾は中央ルームを破壊していった。
バーダックにとってこの船が航行不能になろうと一向に構わない。
自分の命さえ、失えばそれまでと思っている。
次第にバーダックの攻撃は周囲の破壊から【目障りな者の排除】へと変わっていった。
「何事だ!」
船の異常を感じ取った数名が駆け付けて来たときには、既に中央ルームの人員は半数以下まで減っていた。
「王子!来てはなりません!」
指揮官の声に1人の青年が咄嗟に飛び出し、王子と呼ばれた青年を突き飛ばす。
強力なエネルギー弾は突き飛ばした青年の顔を掠め、後方で爆発した。
「へぇ。よくかわせたもんだ。今までその程度の怪我でかわしたヤツは居なかったぜ。避ける間もなく木っ端微塵になってたからな」
久々に現れた手応えのありそうな相手を目にして、バーダックの表情が変わった。
「貴様!王子に攻撃するとはなにご」
言葉が終らぬうちに、指揮官の1人がその姿を消した。
「な?普通はこうなっちまうワケよ」
噂には聞いていた。
王が唯一その行動を黙認しているサイヤ人最強の戦士。
彼が降り立った星は朱に染まる。
「…狂戦士バーダック。何故、此処の者達を手にかけた」
王子に問いかけに先程までとは違った、あからさまに不機嫌な顔つきに変わる。
「気に食わねぇからに決まってんだろ?馬鹿なこと聞くんじゃねぇよ。何ならテメェ等も消えるか?」
バーダックの目は本気だった。
一遍の迷いも見当たらない。
「王子とか呼ばれてた様だが、オレには関係ねぇ。気に食わねぇヤツは消す。オレの邪魔をするヤツもな。オレはオレの好きにやっていいってお墨付きを貰ってんだよ」
お墨付き 王命は絶対だった。
例え王子であっても命令に逆らう事は許されない。
何故バーダックにその様な特権が与えられているのかを知る者はごく僅かだった。
ある日突然現れたサイヤ人。
王は彼に今まで誰にも授ける事の無かった称号【狂戦士】を与えた。
戦う事だけを生甲斐とし、相手を滅する事に微塵の迷いも持たない。親兄弟が相手であろうと、敵対する者への情けを見せる事をしない、文字通り《戦いに狂った者》。
戦闘民族と言えど、そこまで冷酷になれる者はおらず、この数百年間、授かる者が誰一人としていなかった称号を突然現れた下級戦士が授かった。
当初は誰もが下級戦士であるバーダックには相応しくない称号だと王に意義を唱えていたが、その声は一部を除きかき消された バーダックの力をその身で実感する事で。
「さて、と。文句がねぇならオレは行くぜ。まだ惑星を2つ落としに行ってねぇんだ。まぁ、テメェ等が相手してくれるってんなら話は別だけどな。特にテメェとだったら楽しめそうだ」
片目に傷を負った青年に挑発的な視線を向ける。
「戦いが…楽しいだと?こんな無意味な戦いが!」
王子 ベジータには信じられなかった。
年々増える死傷者数。
破壊された後は放置されるだけの惑星。
銀河系レベルで広がる反抗勢力。
このままではサイヤ人に未来は無い。
「無意味じゃねぇよ。相手が多種族だろうが同族だろうが、戦っている間、オレはオレの存在を確認する事が出来る。こんな命、いつ無くなっても惜しくねぇが…オレは…オレだけは、オレの存在を認識していてぇんだよ。サイヤ人としての自分をな…」
バーダックのその言葉も表情も【狂戦士】と呼ばれている彼とは違っていた。
先程までの好戦的で冷酷な面は影を潜め、脆く危うい、消えてしまいそうな存在に見える。
「…自分の存在…か…」
ベジータ王子にはその気持ちが多少なりとも理解出来た。
望まれずに生まれてきた辛さ。
自分の存在を知っていて貰いたかった相手は、己が生まれると共にもこの世から居なくなっていた。
そして戦場に赴くようになり、そこで見たものは父である王の悪政により腐敗したサイヤ人達と相容れぬ自分。
「バーダック…お前は父が…王が行っている事を知っているな」
「当たり前だ。オレは唯一の成功例らしいからな。何をしても許されるってのは、サンプルとして何処までやれるかデータを採られてるって事だ」
王の最終目的はルートタイプの遺伝子を自分のクローンに植え付け、その身体を使い最強の王となる事。
当初は己とルートタイプの女性の間に生ませた子供を自分の新たな肉体にしようと企てていたが、生まれた子供はルート因子を持ち合わせておらず、女も命を落としてしまった事からクローンを使う術へと方向転換せざるを得なかった。
もとより固体数の少なかったルートタイプは王による様々な実験により激減し、現在はバーダックを含め、数える程しか残っておらず、女性は全滅。その為研究所は実験対象を広げ、因子保有者までもを次々と集め、先祖返りを狙った交配までもを行っていた。
「最近じゃ因子保有者の中で一番戦闘力の高い女にオレの子を身ごもらせたって話だ。勝手な事ばかりしやがるが面倒事は全部アイツが引き受けてくれるからな。頭にくる事があっても殺さねぇでいてやるんだよ」
「では…面倒事は全部私が引き受けると言ったら?」
バーダックは王子という立場にありながら王に対する憎しみを溢れさせるベジータの顔をじっと見据えた。
「そうだな…いけ好かねぇ野郎よりアンタの方が面白いかもしれねぇな」
自分より僅かに低いベジータの頭を軽く叩くと、バーダックはそのまま立ち去っていった。
一瞬、その後姿が消えてしまったかの様に思えたベジータは己の目を幾度もこする。
「パラガス、トーマ。あいつを仲間に加える事は出来ないか?」
「王子!本気でその様な事を!」
片目を負傷した青年 パラガスがベジータへと詰め寄る。
もう1人のトーマと呼ばれた青年もまた、嫌悪感を露にしていた。
「王の戦闘力に確実に勝てる力を持っているのはアイツだけだ。仲間になってもらえれば計画も立てやすい」
同じ《実験体》だからこそ解る気持ちがある。
ならば自分の思いもまた、バーダックに通じたのではないかとベジータには思えてならなかった。
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《BlueSkyHero》では【蒼皇那鬼(ソウコウ ナキ)】
《Legend-Of-DragonBall》では【神薙(カンナギ)】
と、サークル名を変える時にPNまで変えたりしたお馬鹿です(笑)
どんなジャンルにも手を出しますが、自分が書くジャンルは少なかったりします…
今はタイバニ(兔虎)にもハマってたり…
基本、親父好きです(爆)