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WJ作品中心のSSブログ。 現在はDB(親父中心)、トリコ(コマ総受)となってます。
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…昨日、ブログ更新後に大きなミス発見。

【昨日の夢、今日の光】第2話が2つもあるんでやんの(笑)
(夕べ直しましたが)

で、危うく今日は3にするところでした(^_^;)

タイトルの番号を振る時は必ず確認してから振っているんですけどね…


 初めて入った他人の家でブロリーは生きた心地がしない、という心境を味わっていた。
「んしょ…っと……確かここに……」
 椅子の背もたれに足を掛け、大人の背より高い棚の上からカカロットは何かを取り出そうとしていた。
 不安定なその状況はカカロットが身体を動かす度に椅子がグラグラと揺れ、今にも倒れそうである。
「カカロット、危ないよ」
「大丈夫…もうちょっと…うわっ!」
 棚の一番奥の方にあった手を伸ばし、箱を手にした時。
 案の定バランスを崩した椅子が大きな音を立てて床に倒れた。
 思い切り床にぶつかる覚悟を決めていたカカロットは中々襲ってこない痛みを不思議に思い、きつく閉じていた瞼を開くと直ぐ傍にブロリーの顔があった。
 ふわふわと浮いているような感覚に改めて辺りを確認する。
「ごめん。まだ余り高くは受けないから…もっと高く受けたらカカロットの代わりに取る事も出来たのに…」
「す…すっげぇ~!ブロリー!もう受けんのか!?いいなぁ…なぁ、オラにも出来っかな」
 申し訳なさげな顔をするブロリーとは反対に、カカロットの顔は好奇心に満ちていた。
「誰でも出来る事だって、父さんは言ってたよ」
「ホントか!オラでも!?」
「う、うん。出来るようになると思うよ。それよカカロット、その箱でしょ?僕に見せたいものって」
 このままだと浮き方を教えて欲しい、と言いかねないカカロットの雰囲気を察し、ブロリーは先程までカカロットが懸命に探していた物へと話を戻した。
 教えられる事なら教えてあげたいが、誰に教わる事無く自然と浮けるようになってしまったブロリーにはそれを人へと伝える術が無かったのだ。
「あ、そうだ。なぁ、これブロリーだよな?」
 先程の箱を開くと、何枚もの写真が無造作に入れられていた。
 その中の一枚に赤ん坊の頃のカカロットとブロリー、そしてその父親達の姿が写っている。
「そうだけど…どうしたの?これ」
 ブロリーの家にこの写真は無い。
 父親達の姿からこれが生誕祭の折に撮影された写真だと解るが、ブロリーには写真を撮った記憶が無かった。
「サーボンがくれたんだ。偶然、撮ってる人が居たから貰ったんだって」
 対外的にはフリーザがカカロットのシッポを抜いた事になっている事実を知っているブロリーには、ザーボンが貰ったのではなく取り上げたのだろうと安易に予想が出来た。
「でも、おめぇすげぇよなぁ。オラ、写真で何回も見てたのに最初ブロリーだって解んなかったのに」
「凄くなんかないよ」
 ブロリーとてあの光の誘導が無ければカカロットを見つける事は出来なかった。
 名前を呼んだ時も、確信があって呼んだ訳ではない。
「なぁ、ブロリーはラディッツ兄ちゃんみてぇに母ちゃんに似てんのか?」
 カカロットは様々な写真をブロリーに見せるながらも、楽しそうに話する。
「そうかも知れない。父さんとは違うタイプだし、もしかしたらお爺さんとかと同じタイプなのかも知れないけど…写真とか無いから解らないんだ」
 自分では考えた事も無かったが、楽しそうなカカロットにつられて笑顔で答えたブロリーが目にしたのは影の射したカカロットの顔だった。
「…一枚もねぇのか?」
 コクン、と頷くとカカロットは持っていた写真をブロリーに差し出した。
「やる!これと…これも!」
 そう言って手渡された写真の中には一番初めに見せて持った生誕際の写真も含まれていた。
「ラディッツ兄ちゃんが言ってた。写真は嬉しいとか楽しいとかを残しとくもんだって。寂しいとか悲しい時に見て、元気を取り戻すもんだって。ブロリーの写真は1枚しかねぇけど、オラの楽しいを分けてやる!」
「ありがとう」
 ブロリーが心からの笑顔を見せると、カカロットの顔に笑みが戻った。
 今日会ったばかりのブロリーに気遣ってくれる。
 それだけで心が温かくなった。
「でも、これはカカロットにとっても大切な思い出だから。それに僕はちゃんと覚えてるよ」
 手渡された写真を丁寧に整えて、元の箱の中へと戻す。
「この写真が撮られた日の事も。カカロットと初めて会った日のことも。僕はそれをいつでも思い出せるから、1枚しかないこの写真はカカロットが持ってて」
 そして今日の事も。
 本当ならば素直に受け取りたい。
 記憶だけではなく、形あるものとして。
 しかし持ち帰ったところで上手く隠し通せる自信がブロリーには無かった。
 写真は見つかったら取り上げられてしまうかも知れないが、記憶は誰にも取り上げられずにいつまでも残す事が出来る。
「僕はね、産まれた時から今までの事を全部覚えてるんだ。写真は持ってないけど、頭の中にたくさんの写真が入ってる感じかな」
「頭ん中に…いっぺぇの?」
 箱の中に写真を返された事で悲しげな表情になっていたカカロットの表情がまた変わった。
「うん、いっぱいの。今日、カカロットと一緒にこうして写真を見たことも僕は絶対に忘れないよ」
 笑顔のカカロットも。
 ブロリーの気持ちを思いやり、悲しげな顔のカカロットも。
 無茶な事でも自分でしようとするカカロットも。
「オラだって!」
 と、カカロットの言葉を遮るように扉が激しく叩かれる音がした。
「ブロリー!居るのは解っています!出てきなさい!」
 それは聞きなれた教育係の声。
「…僕…帰らなきゃ…」
 自分達の姿が家の中に見当たらなければ、そろそろ迎えが来る頃だろうとブロリーには予想出来ていたが、それでも少しでも長く居たいと思っていた。
「また、来るよな?」
「うん、だから誰かになんで僕と一緒に居たのか聞かれたら、市場で僕が迷子になってたからって言ってくれる?」
「そうすりゃ、またブロリーと遊べんだな?」
 うん、と頷きながらもブロリーはこれが最後かも知れないと思っていた。
 無責任な約束はしたくないが、また会いに来たい、一緒にいたいと思う気持ちは本当で。
 でも、もし今後会うことが出来ないとしても。
 この短い時間だけでブロリーには十分だった。
 カカロットと会えて、話して。
 優しい存在が窓の外の世界にいると、実感出来ただけで。
「やっと出てきましたね。突然、休みを下さったから変だと思ったのですよ」
「…ごめんなさい…父さんと市場で逸れてしまって…」
 教育係は溜め息をつくと、扉から室内を覗き込んだ。
 奥の部屋からルートタイプの特徴を持つ子供    カカロットが、じっとブロリーと自分を見つめている。
「まさか、カカロットと会ってしまうとは…。良いですか、今日の事は他の者に知られると私も処分を受ける事になります。ですので、カカロットと会った事だけは誰にも言ってはなりませんよ」
 彼がブロリーの教育係に任命された時、何があろうともカカロットにだけは会わせるなときつく言い渡されていた。
 今日の騒動も見張りの者達は全てパラガスを探し回っているので、ブロリーがここに居た事を知っているのは彼だけ。
 ならば、罰を受ける為に報告するなど馬鹿げている。
「全く…最近、貴方に甘いのではないかと上司に怒られているというのに…」
「え?」
 声に出してしまった事に気付いた教育係は、ブロリーから視線を逸らした。
 前任者より引き継いでから、もう2年が経とうとしている。
 1日の大半を共に過ごしていれば、多少の情も沸くというもの。
 先日も教育の為にも家の中だけでなく、外にも出すべきだと上司に言ったが為に、長時間の説教をされたばかりだった。
「何でもありません。早く帰りますよ」
 カカロットとの別れは辛かったが、それでもブロリーには嬉しい事ばかりの1日だった。
 父親が自分の為に無理をしてくれた事。
 ずっと会いたかったカカロットに会えた事。
 自分を監視する役目の教育係が、自分を気に掛けてくれていた事。
 これ以上、望んだらいけない。
 もう二度と外に出る事が叶わなくても。
 今日の記憶さえ残っていれば大丈夫だと、ブロリーは自分に言い聞かせた。

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事務
自己紹介:
サークル活動時
《BlueSkyHero》では【蒼皇那鬼(ソウコウ ナキ)】
《Legend-Of-DragonBall》では【神薙(カンナギ)】
と、サークル名を変える時にPNまで変えたりしたお馬鹿です(笑)
どんなジャンルにも手を出しますが、自分が書くジャンルは少なかったりします…
今はタイバニ(兔虎)にもハマってたり…
基本、親父好きです(爆)
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