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WJ作品中心のSSブログ。 現在はDB(親父中心)、トリコ(コマ総受)となってます。
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第3話にしてやっとオリキャラ登場となります。

受け入れて頂けるかどうか…

同人誌で発行した時は受け入れて下さる方から励ましのお言葉を頂いたりしたのですが…オリキャラって受け入れられる人とそうでない人がはっきりしてしまうので毎回心配になります(^_^;)

ちなみに…DB本編の主人公は…まだ暫く出てこなかったり…
親父とブロリーとターレスの為の話なので…


※当時(2006年5月発行)の作品を一部改訂しております※


 バーダックが再び目を覚ますと、誰が運んだのかメディカルマシンではなく医療ベットへと移されていた。
 部屋の中を見回すといつからそこに居たのか、壁に凭れ掛かったまま器用に眠っているトーマの姿がある。
(…運命が…変わったのか…?)
 不思議な夢の中で命を落とした戦友が、無事な姿で目の前に居る。
 生存者がいるなら、運命が変わった事になるのではないだろうか。
 ともすれば、あの夢はこれからの未来ではなく、カナッサ星人が見せたに過ぎない幻だったとも思える。
 現に今、眠っている間にあの夢を見る事は無かった。
 どれ程の間、眠っていたのだろうか。
 惑星ベジータが崩壊してから、何時間経ったのか、何日経ったのか全く判らない。
 働きの悪い頭で必死に考えを巡らせていると、扉の開く音がした。
「…ベジータ……王…」
「気付いたか。あぁ、無理はするな」
 身体を起こそうと持ち上げた肩を制される。
 惑星ベジータが崩壊したからであろう。王の顔は少々やつれて見えた。
「バーダック、先程決定した事なのだが…我々は地球へと向かう事になった」
「本当か!」
「但し。船の燃料、備蓄されている食糧、その他航行に必要な物資の関係上、少人数での移動になる」
 奇襲する為に宇宙へ上がったこの船には長い航行に大勢を連れて行ける程の設備は整っていない。
 物資に関しても近隣の惑星から集めた物に過ぎなかった。
「地球へ向かうのは私とパラガス、トーマ、ブロリー、ターレス。そしてバーダック。この6名のみだ。その上、奴等に悟られぬよう最低速度で進む事になる。地球へ到達するのは…20年以上先の話だ」
 ベジータ王はパラガスから『カカロットの運命を変えたい』と言うバーダックの言葉を聞いていた。
 果たして20年という時間がそれを可能にするのかどうかは判らない。バーダックが変えたいと言っている運命が何年先の事かも判らない。
 それでもバーダックの言葉を実現させたかった。
 彼は既にサイヤ人に奇跡を起こしているのだから。
「他のヤツ等は如何するんだ」
「同様の手段で別の星へ向かう。息子とナッパ、それにラディッツが送られている星へとな。他にも生存者の居る可能性のある星へと向かう手筈になっている」
 惑星ベジータ崩壊時に遠征へ出ていた部隊はバーダックのチーム同様、何も知らぬまま攻撃を受けていた。
 近場の惑星に居た生存者は回収したが、王子達の様に遠方に送られている部隊とは未だ連絡も取れない。
 少ない戦力を分散する事は避けたかったが、今はそうするより他に手段が無かった。
「…自分の息子を…王子を迎えに行かねぇでいいのか?」
「あれは私を嫌っているからな。それにお前もラディッツを人に任せる事になるが…」
 ラディッツ。
 その名が出る度に、思い出さねばならない何かを忘れてしまっている気がしてならない。
「あいつは要領も良いからな。ま、何とかなるだろうさ。それより何でターレスが一緒なんだ?」
 ブロリーが共に行く理由はわかる。
 父親のパラガスが行くのだから、赤ん坊のブロリーだけを置いていくわけにはいかないだろう。
 だが、ターレスが一緒に行く理由が無い。
 ターレスが共に行くならば、足りない人物がいる。
「……バーダック、左手足に違和感は感じないか?」
 唐突な質問に訳が解らなかったが、左手を何度か握り、足を動かしてみる。
「少しばかり動きが鈍いが…特に問題はねぇな」
 あの攻撃を受けたのだから、この程度の鈍さは当たり前だろう。
 逆に五体満足でいる事が不思議であった。
「お前を発見した時…左半身は失われていた」
「やっぱりそうか。…で生体パーツを使ったのか?よく適合性のあるパーツが積んであったな」
 王の顔が一段と暗くなった。
「…何か…問題でもあったのか…?」
 王が口を開かぬまま、静かな時間だけが流れる。
「王、私が説明致します」
 静けさを破り扉が開くと、何処から話を聞いていたのか、パラガスが姿を現した。
「バーダック。お前に適合するパーツは無かった」
「なんだと?ならこの手足は何だってんだ!」
「…………シヤーチのモノだ。お前の失われた部分をシヤーチが提供した。自分よりお前が生きていた方が後の為になる、とな」
「シヤーチの…身体だと!」
 バーダックと同じタイプの下級戦士であり      ターレスの父親。
 バーダックのチーム程は警戒されていなかった為か、襲ってきた敵が下級戦士の集まりだと舐めてかかったのか。理由は解らないが遠征先から回収されたシヤーチは命に関わるような怪我を負ってはいなかった。
 しかし、メディカルマシンで延命措置を受けているバーダックの姿を目にし、その理由を聞かされた時。彼を含む生き残ったサイヤ人達がバーダックの生体パーツになる事を申し出たのだ。
 適合検査の結果、バーダックに適合する者はシヤーチしかおらず、その内臓ごとバーダックに移植されていた。
「…何故だ…?同じ下級戦士ならオレじゃなくてシヤーチが生きてたって構わねぇだろ!」
「お前の怪我の理由を聞けば、皆が同じ行動を取る。現にシヤーチだけではない。お前の生体パーツになると何十名もの者達が申し出た。お前の命を救って欲しいと…エリート戦士までもがな」
 その中に、バーダックと同じタイプの戦士はシヤーチ1人しか居なかった。
 同タイプの者は祖先が繋がっているとされている。
 何代、何十代と時を重ねようとも、同じ姿の者同士の適合率が下がる事はなかった。
 シヤーチは自分が適合する、それを知った上で申し出ていた。
 ベジータ王やパラガスは、バーダックに適合しなかった生体パーツでもシヤーチにならば適合するかも知れないとの望みも抱いたが、それは叶わず、バーダックがシヤーチか、どちらか一方しか救う道しか選べなかったのである。
「じゃあ…何か…?オレは自分が生きる為に…シヤーチを…殺したのか…」
 シヤーチとはお互いの子供    ラディッツとターレスが縁となり、度々顔をあわせるようになった。
『バーダック…お前、いつか本当に死ぬぞ?』
 口癖の様に、バーダックはシヤーチに顔を会わせる度に言われていた。
『戦って死ぬなら本望だ。テメェこそ、もっと戦闘力を上げろ。危なっかしくて見てらんねぇんだよ』
『俺はお前みたいに痛い目にあうのは好きじゃないんでね』
 決して無理の無い遠征先を選び、殆ど無傷で帰還するシヤーチの戦闘力が上昇する事は無かった。
 そんな彼はターレスと共に居る時、心底嬉しそうな顔をしていた。他のどんな時よりも。
「お前が殺したのではない。最終判断を下したのは私だ。それに…この件はターレスも承知している」
 判断を下したのは王。
 それを聞かされても、バーダックはやはり自分が殺した気がしてならない。
 自分があの攻撃で消滅していれば      不思議な夢の通りに死んでいれば。
 そうすればシヤーチは生き残ったかも知れない。
 己の生死1つで全てが変わる等とは思えないが、自分を見つけたサイヤ人達が自分が死んだ運命でも生きていた可能性はあるのだ。
「あいつは…ターレスを残して死にたくなかった筈だ…」
 サイヤ人にしては珍しく、子供を、そして他人を大切にする者だった。
 はじめは鬱陶しいと感じていたその性格も、付き合っていくうちに当たり前の事となっていた。
 戦闘力でしか判断しない自分と違い、戦闘力の低いラディッツに如何にすれば戦場で生き延びられるのかを教え込んだのもシヤーチだった。
「親父は満足だったと思うぜ。なんせ憧れのバーダックの命を救えたんだからさ」
 ベッドの左側。
 壁との隙間からひょいっとターレスが顔を出した。
「ターレス。探したぞ」
 パラガスが此処へ来たのはターレスを探しての事らしい。
 待機命令が出されている最中、自室に居なかったターレスを今も数名の戦士が探し回っている。
「細かいこと気にすんなって。親父がさ、最後まで気にしてたんだよ。自分の手足で本当に動くようになるのかって。バーダックの命を助けたとしても、あのバーダックの一部として力を発せるのかってさ。だからオレが確認しに来たってワケ」
 とろこが、見つけたバーダックが眠っており、中々起きる気配がない。
 左手足が繋がっている事を確認した後、つい寝入ってしまった。
「くだらねぇ心配すんじゃねぇよ。自分の腕以上に使えるようになってやらぁ。必ず…な」
 瀕死の者を生かすために命を捨てた馬鹿の為に。
 サイヤ人らしくない行動を選んだ、多数のサイヤ人の為にも。
「あともう1つ親父から伝言。必ず生き延びろ、どんな事をしても。だってよ」
 何も答える事が出来なかった。
 自ら死を選んだ者が、自分には生きろという。
 あの瞬間。
 バーダックには死に対する恐怖は無かった。
 不思議な夢が、自らの無念をカカロットが晴らしてくれると告げていたから。
 ではシヤーチは何を思いながら死んだのだろう。
 それがどの様な思いであろうとも、解ったところでシヤーチが帰って来る訳ではない。
 己の右手で、己のモノとなった左手を握り締める。
 バーダックは己の半身に誓った。
 何があろうとも、この命を繋ぐと。
 そしてもう1つ。
「………ん…?あ、バーダック!目が覚めたのか!」
「あぁ、お前もしぶといヤツだよな」
 トーマの声に、握り締めていた手を咄嗟に離す。
「おっさん寝すぎ。オレが来た時からずっと寝てんだからよ。せめて人の気配で目、覚ますくらいの芸当出来ねぇの?」
「うるせぇ!てめぇは相変わらず口の減らないガキだな!」
 先程までの重い空気が、彼等によって少しずつ振り払われてゆく。
 バーダックにはこれがターレスが故意に行っているのだと、解った。
 父の行動とそれがもたらす周囲の変化。
 ターレスが周囲の空気を読む事に長けている、と言ったのはシヤーチだ。
 感情の流れを逸早く察知し、どの様な対応を取ればいいのかを模索する。
 ラディッツと同年齢とは思えないほど冷静な考え方をするターレスを、シヤーチは心配していた。
 吐き出されることの無い感情は何処へいってしまうのか、と。

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HN:
神薙
性別:
女性
職業:
事務
自己紹介:
サークル活動時
《BlueSkyHero》では【蒼皇那鬼(ソウコウ ナキ)】
《Legend-Of-DragonBall》では【神薙(カンナギ)】
と、サークル名を変える時にPNまで変えたりしたお馬鹿です(笑)
どんなジャンルにも手を出しますが、自分が書くジャンルは少なかったりします…
今はタイバニ(兔虎)にもハマってたり…
基本、親父好きです(爆)
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